裏側に隠れた魅力

こんにちは。

マルラボスタッフの酒井です。

 

皆さんは器を手に取った時、まずどこに目を配りますか?

フォルム、表面の質感、柄など、購入時に重視するポイントは、

たくさんありますが、僕はまず高台を見るように心掛けています。

 

理由としては、

『高台を見ればいい器かどうか把握ができるようになるから。』です。

 

何千、何万も器を見てきた経験がある骨董商の人も、まず高台を見て、

良い器かどうかを判断するという話を聞いたことがあります。

 

上記のような骨董商の人に比べると、まだまだ僕自身経験も乏しいのですが、

しばらく経験を重ねると、形やバランスを見るだけで、

ひと目で手作りか量産か把握ができるようになっていきます。

 

手作りでしか出せない高台の形、量産型の高台の形など、

高台一つとっても様々な形があり、

高台に関心を持つことでより、器に対しての理解も深まっていきます。

 

『高台はその人となりを表す。』と言われているように、

器の中でも最も魅力が詰まった箇所だと考えています。

 

そんな中、今回ご紹介するマムシリーズに関しても、

一風変わった高台になっています。

 

 

この器はピン焼きと呼ばれる焼成技法で作られており、

フランスのアンティーク食器などによく見られる、

ヨーロッパ式の伝統的な製造技法で作られている器です、

 

 

画像だと少しわかりにくいですが、

高台の畳付にも釉薬がかかっていることで、

器全体が釉薬の皮膜に覆われています。

 

メリットとしてはテーブルに傷がつきにくいことが挙げられますが、

それ以上に器好きな人から見ると、

『おっ。』と思わせるのが、ピン焼きならではの焼成跡です。

 

同様の焼成跡が3箇所残っています。

 

よく作家物の器で同様の技法で制作しているものがあり、

裏側の跡をみると、『おっ。手間がかかっていていい器だな。』

と思わせてくれます。

 

 

こちらは私物のマグカップですが、

作家ものの器だと道具土や童仙房といった耐火度の高い土を

敷いた状態で焼成することで目跡と呼ばれる跡をつけています。

 

日本でも古来からこの技法を使って、

雑器などのお茶碗を焼いていた歴史もあり、

現代にもこの技法は受け継がれています。

 

もし皆さんもギャラリーや専門店などで器を手にする機会があれば、

器の裏側にも目を向けてみてください。

 

その器ならではの技法や作り手の思いなど、

新しい発見があるかもしれません。

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